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01:00 前原陽斗

in2026-07-09 16:18:08

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教室で話したこともなかったのに、どうして声をかけたのかは自分でもわからない。
ただ、月を見上げる目に涙が見えたから。

「こんな時間に女子一人は危なくね?」

振り向いた目尻から涙が流れ落ちた。それを拭いもせずこちらを見る。
そのさまを、綺麗だと思った。

疲れてしまったのかもしれない。オレも、お前も。

???

「紅茶とコーヒー、好きな方とって。」

自販機で買ったホットドリンクを差し出すと、静かに紅茶をとった。

「ありがと。いくら?」

「あー、いーっていーって!サイフしまって!」

「払ってもらったままじゃ気持ちわるい。」

数百円もしないんだから、奢られとけばいいのに。
大抵の女の子は奢ると喜ぶのに。

「じゃ、今度何かおごってよ。それでいい?」

提案すれば納得したように頷いた

彼女が黙って紅茶を飲み始めたので、オレもコーヒーを口に運ぶ。

なんでこんな夜中に、とか、泣いてた理由とか、聞きたいことはたくさんあるけど。何も話さないまま並んでる状況は奇妙で、けど不思議と居心地は悪くなかった。

「…。ときどきね、逃げたくなるの。」

ぽつりと零した言葉はひとりごとのようで。

「地球のこととか、学校とか、もういいやって。全部放り出したくなって。」

うつむいた彼女の表情は読めない。

「深夜に歩いてると、私が私じゃなくなるみたいで、許された気分になるから」

夜と私の境界が溶けてなくなってしまえばいい。そのまま朝日に照らされて、消えられたならどんなに良いか。

前を向いた彼女の目に、自販機の明かりがぼんやり映っていた。

誰でも良かったのだろう。もしかしたら、もともと話す気もなかったのかもしれない。
けれど、彼女の言葉が、自分に刺さって苦しかった。

たくさんの女の子と遊んでも、可愛い子と寝てみても。ぽっかり空いた何かが埋まることはなかった。

不安なのか焦りなのかもわからない感情と、空虚な己を隠すのに必死だった。

「まぁ、なんて言うかさ?


?……。疲れたよな。お互いにさ。」

よく分からない感情のまま、かけた言葉を向ける先は、彼女か、俺か。

ヘラリと浮かべたいつもの顔は、彼女の目にどう映っただろう。